第3話 リクエストに答えて、クロゼットの子供達の続編

え〜っと・・・リクエストに答えて・・・。 第1話の続編

僕が住んでいたアパートに白人の7才位の女の子と5才位の男の子の姉弟が住んでいた話が第1話だった訳ですが、それから7〜8年経ってからの話です。

僕の仕事は大型のチャーターバスを頻繁に利用します。
(仕事は流通系の視察や研修のCoordinateです)
ある日、若い女性の見掛けないドライバーと仕事で一緒になり、
「キミ、この会社に入って間も無いね?ショッピングセンターやよく行く店舗の道は大丈夫?」
と打ち合わせをしている内に、自分はどの辺りの地域は詳しい、昔どの辺りに住んでいた・・・と言う話になっていきました。

突然、彼女が
「ねぇ、あんた幽霊って信じる?」と言い出すのです。
「信じるけど、どうして?」 僕が聞くと、彼女は
「この話は本当の話なんだけど、半分くらいの人は信じてくれないのよね・・・」と、話し始めました。

以前彼女が住んでいた地域の住民の間で、
「毎月XX日の夜XX時にはOO公園を通ってはいけない」と言う噂が有ったのだそうです。
と、言うのも、その公園で女の子が義父に犯され、それを止めようとした弟と2人共その義父に殺された事件が有り、毎月同じ日にその2人の子供がその公園に出てくるのを大勢が何度も何度も目撃しているのだそうです。

僕にその話を話してくれていた彼女は、それをすっかり忘れてその日のその時間にその公園を通ってしまったのだそうです。
その公園に入った途端に、公園の向こう側で誰か子供が地面で手足をバタバタさせているのが見えたそうです。
「あれっ?こんな時間に、あの子はなにをしているんだろう?」
そう思ってよく見ると、今度は、男の子が見えない何者かに向って飛び掛かって行き、ゴムまりの様にポーンと弾かれて地面に仰向けに倒れるのが見えたと言うのです。

彼女には、大人の姿は見えずに、地面で手足をバタバタさせている女の子と、
「No!No!」と叫びながら空中に向って飛び掛かっては弾き飛ばされ仰向けに転がる男の子の姿しか見えず、それはいつまでもいつまでも、何度も繰り返して、まるで劇の練習でもしているようにすら見えたと言います。

ふと、我に返った彼女は、
「その日のその時間その公園」に自分がいる事に気が付き、足がすくんで動けなくなってしまったとの事でした。
それを見てしまった彼女は、その後毎日図書館に通い、新聞の縮刷版をすみからすみまで調べ、その事件を調べ上げたのだそうです。彼女が見た当時7才の姉と5才の弟は、白人だったそうです。
僕にはその時なぜか、その2人はまぎれも無く僕のアパートに居た2人の子供だと確信が有りました。

でも、犯行が行われた公園は僕が昔住んでいたアパートが有る街から数十キロ離れた街です。
「どうして、僕のアパートにその子達が居たのだろう?」と不思議に思い、彼女に事件の結末を聞きました。
犯人の義父はその後逃亡し指名手配され、数ヶ月後に犯行から数十キロ離れた別な街で逮捕されたそうです。
それがぼくが住んでいた街でした。

公園で、まるで劇の練習かの様に毎月毎月見えない義父と戦う2人の霊は恐いと言うよりも、不憫さをさそい、見ているだけで悲しさや空しさが湧いて来たそうです。
でも、僕の部屋に居たあの子達は決して悲しそうでも、恨めしそうでも、何かを伝えたそうでも無かったそうです。
(僕のアパートでしたが僕は彼らと会っていません)
僕の部屋に居た2人は、自分達が死んだ事を認識できず、ただ、誰かと遊びたかっただけなのでしょう。
本当の理由は今でも分かりません。
あのアパートは子供が多かったからつい遊びに来たのか?
それとも、僕のアパートの部屋に仮住まいしていた女性が彼らを呼んだのか?
前からずっと、彼らはそこに居たのか?
そう言えば、犯人の義父が逮捕されたのは何年の事だったのかを聞き忘れました。
まだ、逮捕される前で犯人の義父はその街(もしかするとそのアパート)に住んでいたのかもしれません。
ただ、僕は僕とホンの少しの間だけど、時間と空間を共有した、ちょっと臆病で、でも2人で無邪気に遊んでいた彼らの冥福を祈るだけです。

もう一つ不思議な事は、その女性ドライバーとはその後2度と会う事が無かったと言う事です。
なんだか、彼女(ドライバー)は僕にその事を教えてくれる為に僕の前に現れたかのような気がして仕方ありません。

 

 

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