第5話 いよいよ登場 UFOです
霊の話ばかりだと、ここの「不思議な話」と言うのは幽霊の事かと勘違いされやすいので、そろそろ別な話題も出そうと思います。
もしかすると、これがいろいろな事の発端かとも思う事件なのですが・・・。
僕が17才の時に、友達と旅行に行きました。
中学校の時の仲良しグループで、それぞれ別な高校へ進んだ4人が2台のオートバイに2人ずつ乗って、札幌から函館までの3泊の予定のツーリングでした。
まずはことなく函館に着いて、すっかり夜もふけた立待ち岬の岩場でテントを張ろうと思っていました。
(立待ち岬にテントなんて張っちゃいけないんですよね・・・(~_~;)
僕はいまでも、函館って日本の中で夜空が一番綺麗に見える街だと思っています。
その時も、満点の星空でとにかく綺麗でした。
高校生の男の子4人が柄にもなくしばらく星空に見とれているうちに、一人が
「おい、あれ何だと思う?」と僕らの正面かなたで、青・赤・黄に点滅する飛行物体を指差しました。
「あれ・・・円盤だぜ(UFOと言う言葉はまだ定着していない時代でした・・・・汗)」
と続いて彼は言ったのですが、 僕が呆れて
「ばかなこと言うなよ・・・・飛行機だろう・・・・」と言った途端にその飛行物体は突然一点で止まり、
その後上下左右斜めに、蚊かハエの様な動きで飛び回るのです。
「おい、おい、おい・・・」と4人とも駐車場のガードレールぎりぎりの所まで駆け出し
(数メーター近づいても何も変りはしない筈なのですが・・・笑)しばらくは声も出すのも忘れて見入っていました。
しばらくして、その飛行物体が急降下し途中で消滅したのを見届けてから、それぞれが興奮して
「おい、本物だったぜ!・・・」と言い合っている内に、
「円盤って、いつも出る訳じゃないけど、出る時はまとまって沢山出るって聞いたぜ・・・他にも居るかも知れない」と僕が言い出し、4人で満天の星空を観察し始めました。
そうすると、いくつかの星(白い光)は実際に動いていたり、1つの星が2つに分かれたり、不思議な光が随分沢山有るのです。
しばらくして、動く星(白い光)が無くなった頃、僕らの方へ向って長靴に釣竿、クーラーバッグを抱えた男性が岩場を歩いてきました。
すっかり興奮していた僕らは
「おじさん!おじさん!俺達すっげーもの見ちゃったよぉ!!!」とそれぞれが言い出したのですが、その人は
「ああ・・・円盤だろう・・・」
と足も止めずにそのまま何も無かったかの様に歩き続けて行ったのです。
なんだか拍子抜けした僕らは「この辺じゃ、円盤は珍しいものじゃないのかも知れないなぁ・・・」と寝る事にしました・・・・。
翌日、僕らは函館から30kmほど離れた、林に囲まれた湖(大沼公園)の湖畔でテントを張る事にしました。
朝の4時(時計を見た記憶は無いのですが、なぜか4時だったという事は覚えています)に、林の中のジェット機の離陸の音で目が覚めました。
「なんだよぉ・・・こんな朝早くから・・・。飛ぶならさっさと飛べよ!」
まだ、寝ぼけていた僕はそう心の中で思ったのですが、だんだん目が覚めてくると
「あんな林の中でジェット機が離陸する筈は無い・・・・」
と言う事に気が付きました。
そして、更に意識がハッキリしてくると、テント一枚を隔てたところに人(?)の気配がするのです。
僕らは頭を林、足を湖畔に向けて右からカオル、永一、修、純という順番で寝て居ました。
その一番端の僕からテント一枚隔てた向こうの寝ている僕の頭の高さに、なぜか人の頭の気配がするのです。
テントをはぐるとその向こうに居る「誰か」と目が合うような気すらします。
恐くて、恐くて指一本動かせません。
声も出せない。
俗に言う「金縛り」とは違って、「恐くてすくんでしまって動けない」と言う状態です。
「こんな事になっているのに、どうしてこいつら(他の3人)は目が覚めないのだろう?こんなに音もうるさいのに、どうして寝ていられるんだろう?」
そう思いながら、僕は一人で恐怖と孤独感に震えていました。
なぜか記憶はそこまでなのです。
気が付いたら、既に気持ち良く晴れ上がった朝になっていました。
テントの中は僕一人だけ。
外へ出てみると、3人はそれぞれ歯を磨いていたり、顔を洗っていたり・・・。
「永一・・・お前、何時に起きた?」恐る恐る聞いてみると、
「ああ、ちょっと前だよ・・・」
「修は?」
「俺は、永一にさっき起こされた・・・」
何事も無い顔で2人はすがすがしく答えます。
「カオルは・・・・?」
最後に、その夜テントの向こう端に寝ていたカオルに聞くと、彼は
「いやぁ・・・俺はちょっと早くに目が覚めてよぉ・・・」となんとなく口ごもります。
「じゃ、お前も聞いた?あの音!」そう僕が聞くと
「うん、あれ、やっぱり夢じゃないよな?本当だよな?!」
カオルの返事が急に生き生きして返ってきました。
ほっとした僕にカオルは続けて
「俺が、『純、起きてるか?大変だ!俺は永一を起こすから、純は修を起こせよ』と言って、二人でこいつらを揺さぶったのに、全然起きなかったんだよな?」 と、言うのです・・・・。
「・・・・・・・・・」
「それで・・・・?」
「その後の事、お前覚えてる?」ちょっと僕の記憶とは違う事を言い出すのです。
なんだかとても不思議な気持ちでカオルにその先を聞きました。
「うん、頭をガンと殴られたみたいなショックでそのまま気を失った・・・・。」
「気が付いたら朝になってて、みんな起きてた・・・・」と彼は言います。
僕の記憶は、恐怖にからだがすくんで身動き一つ出来ず、声も出せずに
「どうして俺一人なんだろう?なんでみんな起きないんだろう?」と心の中で思い続けていた記憶しかありません。
カオルと会話をして体を起こして隣に寝てる修を揺さ振り起こしていたなら、もっと恐怖感や孤独感は少なかった筈です。
事実を整理してみると、 僕とカオルがジェット機の音(?)で目が覚めたのは朝の4時でした。
みんなが起きたのは朝の8時です。
その4時間の中で、永一と修は何も気付かず寝て居ました。
その時に目が醒めた僕とカオルの2人の記憶の上では、
カオルの記憶は
『純と会話をして、体を起こしてお互いに隣の奴を揺すって起こそうとした。』
『その後、頭にガンとショックを感じて気を失った』という記憶です。
そして、僕の記憶は
『どうして誰も起きないのだろう?どうして俺だけなんだろう?』
と恐怖と孤独にすくみ声も出せず、体も動かせない状態だった。
その後は、いつの間にかまた寝てしまった・・・。
と、相違が有ります。
[2人が朝の4時に起きていた]と言うのは記憶と言うよりも[事実]の様です。
と、すればカオルの言う[2人が会話をした] のは自然だと思えます。
それに、
「いきなり後ろから頭をガンと殴られたようなショックで気を失った」
と言うカオルの記憶は納得出来ますが
「言葉に出来ない程の恐怖で震えていたのに、そのままいつの間にかウトウトとまた寝てしまった」
と言う僕の記憶にはかなり無理が有ります。
そんな状況でウトウト寝てしまうでしょうか?
(僕はそんなに太っ腹じゃない・・・苦笑)
つまり、カオルの記憶は全て納得いくのですが、僕の記憶の方はどうもおかしい・・・・・。
僕は、自分がそのまままた寝た事すらも覚えていない。
いつ、人の気配やジェット機の音(?)が消えたのかも記憶に無い。
ちょっと、目線を変えてみて下さい。
数十年前、コンピュータ(その頃は電子頭脳と呼んだりもしました)に紙テープに穴をあけてデータを保存していた頃は、現在のように素人がこんな簡単に
数GBのデータをフォーマットしたり、検索、 編集したりする事は想像も付かない技術だったという事は理解出来ると思います。
もし、今の僕らが想像できない何らかの技術で人間の記憶の一部をフォーマットしたり、編集したりする事が出来るとすれば・・・。
僕が失った17才の時の大沼公園の湖畔での4時間を消去して新たなデータ(記憶)を書き込みする事が出来る人(?)が居たとすれば・・・。
そう考えたら、僕とカオルの間の記憶の相違や僕の不自然な記憶は納得出来てしまうのです。
4時間の記憶を完全消去され、消去された記憶の直前の数分間が自分の脳の中で矛盾を起こしている。
(あるいは、何らかの方法で消去直前の数分間の記憶を編集されている)
と、解釈すれば僕の消去された4時間分の記憶には何が記録されていたのでしょう?
僕もカオルの様に単に気を失っていたのか?
記憶通りに、ウトウト寝てしまったのか?
起き上がってカオルと会話した事を天然ボケで忘れてしまったのか?
彼らにとって消去したい何らかのデータ(記憶)が僕の脳(HD?)に有ったのか?
脳のUnformatやUndeleteソフト(笑)が、開発されていない以上、僕の17才の時の4時間はいまだにMissingのままです。
ご意見、御感想お待ちしています。
僕の人生の中で、失われた未解決の4時間です。
