第11話 タロット

僕は、タロットがよく当たります。どうしてか判りません。
でも、このタロットは僕がずーっと昔に知人にもらったもので、やり方もその時にちょっと教わっただけです。
だから、タロットを「研究」したり「勉強」した人には申し訳無いなぁとも思ったりする事もあります。

この、僕にタロットを譲ってくれた知人ってのがすごい人でした。
僕は、その頃ヒッピーをしていてコミューンに住んでいました。

ヒッピーと聞くとリアルタイムでは無かった人達は(中にはリアルタイムだった人達も・・・苦笑)、 「ピースマークやスマイルバッジをつけたホームレスの浮浪者」と思ってる人が結構居るようで驚きました。
まぁ、確かにそうとも言えるかも知れませんが・・・(笑)

僕らが目指したのは、幼稚だったけれど「原始共産制」の社会を目指していました。
つまり、やりたい時に、やれる人で、やりたい人がやれば良い。と言う基本で生きて行きたいと言う訳です。
そりゃ、今でもみんな出来るならそう有って欲しいと思ってるでしょうね。
仕事でも、家事でも・・・。
コミューンは全国にいろいろなコミューンが無数にあり、福生には沢山ありましたし、狭山とか、米軍ハウス後の貸家に多かったり、離島や旭川の山の中とか・・・。
僕が一番気に入っていたのは、ピキピキ舎と名前の付いて居た所でした。

いろんな旅人が(人は皆旅人ですが・・)出たり入ったりするので、朝起きると知らない人が横に寝ていたりします。
例えば、朝僕が一番に起きたとします。
音楽をかけたければかければ良いし、掃除をしたければすれば良い。
お腹が空いたら、何か作れば良いし、材料が無ければ買いに行けば良い。
お金は居間の空き瓶に入っています。
当たり前の事ですよね。ただ、家の中には旅人達で一杯なのです。
そして僕も旅人で・・・。
誰も相手には何も強要しない、期待しない、義務も無い・・・。

ビンの中のお金が無くなったら、「誰か」が仕事に行きます。
行きたくなければ行かなくても良い。
例えば、ある時僕らはアルバイト情報を見て、「測量助手3名募集一日8000円。出張出来る人」と言うのを見て、「あ、これ行ってこようっと・・」「じゃ、俺も・・・」って感じで3人が出 張に行きました。
何が測量助手なもんか、人里離れたで雪山を腰まで雪に埋まって登りながら、ダイナマイトを仕掛けて雪を飛ばして、命がけ・・(今でもあの3日は忘れられない・・(笑)

まぁ、とにかくそれぞれが8000円X3日分=24000円が入った封筒を貰って、その帰りに一人は前から欲しかったレコードを買って(CDなんてSFの世界の時代です)、一人はボロボロのジーンズを新調して、帰りにスーパーで色々おかずを買って、お酒も買って、煙草も買って・・・(笑)
そして、そのコミューンに戻ったら、ほとんどそっくり封筒ごとビンの中に入れてしまうのです。
それを強要されている訳でもない。
今回は僕らがたまたま働いてきたと言うだけで、お金と言うのは皆のもので、誰もが自由に使ってかまわないと言う考え方なのです。

それは、昨日旅から寄った今日の住人でも、明日旅に出る昨日までの住人でも同じです。
自我と所有欲を殺す事が出来れば、それは可能な事だと思います。
(実際にそうやって暮らしていた人達が沢山、沢山居たのですから・・・)
もっとも、自我や所有欲は「殺す」ものではなく、「いつのまにか消滅してしまう」ものだと思いますが・・・。
「殺す」と言うのは存在が感じられるからそれと闘う訳で、存在自体が感じられなければ、闘う必要も無い訳です。

みんなで喫茶店を経営していたり、コンサート開催業(プロモーター)をやったりしてた頃もあり、でも全部赤字で(笑)、土方やビルの防水工事、ビルの解体作業で稼いだ金をつぎ込んでました。
今思えば、結構有名なミュージシャンのコンサートをやったりもしましたし、70年代の御殿場のコンサート(これは僕らじゃないけど)を覚えてる人も居るかも知れません。
長髪のヒッピー達が寝袋を抱えて全国からヒッチハイクで集まって、御殿場の道をぞろぞろと歩いているのです。
さながら、日本のウッドストックって感じで皆、興奮してました。

福生や狭山には今はとっても有名になった(まぁ当時も有名だった)ミュージシャン達が結構同じような生活をして住んでました。(名前は書けませんが・・・)
そんな生活をしてる時に知り合ったのが「ねも」と呼ばれていたジョンレノンにそっくりな友人でした。
無口でしたが、初めて会った時に、隣に座っただけなのに僕の名前や過去やそして本人すら気が付いていない僕の望んでる事や、いろんな事を知ってる(当てる)のです。
その彼がタロット「も」してくれて、数日後に「僕は明日から旅に出るから、このタロットはキミに上げるよ・・」となぜか置いていった物なのです。

なんだか、今回はちょっと話がずれたみたい・・・(苦笑)

 

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