第14話 幽体離脱もう一人の僕(後編)

毎日の様にそんな事が続いている時に、ある日彼女が夕飯の仕度をしながら
「ねぇ、今朝起こしてくれなかったら、遅刻するところだったよ・・・」と言った。
特に気にもせず、適当に返事をしていた。
そうしたら、次の日も、
「ここんところ、毎朝起こしてくれるから本当に助かるわぁ・・・」と言う。

それも、特に気にせずに聞いていたけれど、3日目か4日目位に、
「ねぇ、どうして夜中に歯を磨くの?」と聞く・・・。
「あのさぁ・・・夜中に起きて歯を磨くなんてするかよぉ・・・」と言うと、
「じゃぁ、早起きして歯を磨いているの?」と聞く。

「だって・・・」と彼女が話し始めたのは、
ある朝、起きて歯を磨こうと思ったら、カップの中に僕の歯ブラシが入っていて、歯磨きチューブがちゃんと棚から下(手元)に降りている。
その日は
『昨日の朝からこのままだったのかなぁ?』
と思いながら歯を磨いたのだけど、なんと次の日の朝も前の日と全く同じ状態だった。
それで、その夜は寝る前に
『カップに歯ブラシを4本入れた。歯磨きチューブもカップに入れた。カップを棚に乗せた。電気消した・・・』
と、ひとつずつ確認しながらカップに4本の歯ブラシを入れ、棚の上にしまってから寝たのに、
翌朝起きてみるとまたいつもと同じように、寝る前にちゃんと棚の上にしまったはずのカップが棚から下に降りていて、そのカップには僕の歯ブラシだけが入っていて、他の3本の歯ブラシとチューブは横にバラバラと置いてあったのだと言う。

僕は夜中に起きて歯磨きなんかしてない・・・。
それに大体・・・・
「所で、この2〜3日『純が起こしてくれて助かった』と言ってるけど、俺は一度も起こしてないぞ・・・」と、言うと
「そんな事は無いわよ・・・ちゃんと肩をゆすって、名前を呼んで起こしてくれたんだから・・・」
と不満そうに言う。

僕は起こしてもいないし、夜中に歯を磨いてもいない・・・・。
「あのさぁ・・・。明日の朝、起こされた時にちゃんと顔を見てくれないか?」
「もし、起こしてるのが俺だったら、無意識で毎晩夜中に歯を磨いたり、朝起こしたりしてるのを全く覚えていないのって、夢遊病とか何かの精神障害かも知れないし、それが本当だったらちょっとヤバイからさぁ・・・」
と言い、翌朝は彼女は張り切って、起こされた瞬間に僕(?)の顔をしっかり確認する使命になった。

翌朝、僕が起きた時には彼女はもう、起きてた・・・。
「どうだった?俺だった?」そう聞くと彼女は
「ウン、純だった・・・」と言う。
僕には起こした記憶は無い・・・
『そうかぁ・・・ちょっとやばいな・・・・』そう思った時に、彼女は
「でもね、ちゃんと寝てる純も居たのよ・・・」と言い出した。

彼女は、起こされた瞬間に、目を開けて体をひねってその起こしてる男を見たら、上半身を起こして彼女の肩をゆすり声をかけている男は、まぎれも無く僕だった。
そして
『なぁんだ・・・やっぱり純じゃない・・・』と安心して、
視線を横にずらすと枕に頭をつけてまだすやすや寝てる僕も居たのだという。

つまり、上半身起こして彼女の肩をゆすって声をかけている僕と、まだ布団に入って寝ている僕の2人の僕を同時に見たというのだ。
まぁ、僕としては夢遊病ではない事が判って安心したけど・・・・・・

実は、この後に彼女の大学生の弟が数日遊びに来て子供部屋に泊まっていた。
最近起きた不思議な話」を彼に話すと、
「俺さぁ・・・まさか姉貴とか純さんが俺に馬鹿げた作り話をするとも思えないし、でも、それってちょっと信じられないなぁ・・・」と言うので、
「信じなくても良いよ・・・。ただ、俺達は本当に起きた事実だけを話してるだけだからさ・・・・」と言い、
その日はとりあえず寝た。

翌朝、彼が僕の顔を見て、青い顔をしながら
「あのさぁ・・・今朝、姉貴と一緒に子供部屋に起こしに来た?」と聞く。
「それで、その後玄関から出て行かなかった?・・・・」
「『今日はやけに早くに仕事に行くんだなぁ・・・』と思っていたんだけど、まだいる・・ねぇ・・・」
と、彼は困った顔をしながら、今朝もう一人の僕を自分の目で見た事を言い出した。
その日僕は子供部屋に子供達を起こしにも行ってなければ、まだ一度も玄関には近づいていない。

これは沖縄の時のパラレルワールドらしき現象とは明らかに違う。
実際に生活している場で、僕(こうなると本物の僕とか偽者とかの問題じゃなくなって来る・・・笑)の回りの人の前にもう一人が現れている。

沖縄の「もう一人の純」は、彼の世界での友人や彼女が居た。
彼は彼の世界を持っている。
多分、僕の服を着て僕のマスタングに僕の知らない女性を乗せて走っていった「もう一人の僕」もきっと彼は彼の世界があるのだと思う(少なくとも僕の知らない女性を横に乗せていたし・・・苦笑)

ただ、この時は子供部屋でタバコを吸っていたのも僕かも知れないし、少なくとも、歯ブラシを用意してくれていたり(彼が夜中に歯を磨いていたとは思えないから)毎朝僕の彼女を起こしてくれたり(彼は僕を起こせないから、僕を起こす替わりに彼女を起こして彼女に僕を起こさせようとしていたんだと思う)していたのは、自分独自の世界を持たない、僕と同じ世界に住む「もう一人の僕」だった。
だから、誰も履いていないのに突然一日だけ僕のブーツが無くなって、次の日には何事も無かったかのように玄関に有ったりした事もあった。
僕らは、『きっと彼(もう一人の僕)が履きたかったのだろう・・・』と言う事で済ましていたけれど・・・。

幽体離脱やパラレルワールドやUFO、ヒーリング(ハンドパワー)が出てきたけど、まだまだ終わらないよ・・・・。
ところで、繰り返ししつこいけど、これらは全部僕本人が自分で体験した実話ですからね。

PS.この時の話は、沖縄へ行く前です。
つまり、この時「何年も沖縄に住んでいる『純』は、沖縄で彼なりに生活していた訳で、幽体離脱とパラレルワールドをいれると、いったい僕は何人居るのか・・・?(苦笑)

 

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