第22話 ラップ現象
僕は10代の頃から結構ラップ現象を聞いてきたように思えます。
ただ、きっとそれを全然気にしていなかったんでしょうね。
第一話の子供達が居たアパートで、あの子達が出てくるしばらく前の事です。
日本で針の治療院を2軒(?)やっている同い年の人とひょんな事から友人になりました。
縁とは面白いもので、初めはお互いにオートバイが好きと言う事から話が弾み、 アメリカを夫婦で旅してると言う事で、
「どこか安くて上手いレストラン知ってますか?」
「あぁ、ウチの近所で僕がいつも行く店、安くて量が多くて・・・行く?」
と一緒に夕飯を食べに行って、
「これから宿を探さなきゃ・・」
「じゃ、ウチに泊まれば?」とまだ、ルームメイトが居た頃の、あの第一話のアパートへ連れて来ました。
ウチに来てから初めて、彼が針の先生で高校時代から針を習い、中国に東洋医学を学びに留学したという話を聞きました。
針の話から気功の話になり
「僕も(中国の)大学で少しは習ったんですよ・・・」
と彼が気功を実演して見て、
「じゃ、僕のこれも気功かなぁ?」
と彼に手をかざしてみると
「僕らなんかよりも比べ物にならない位強いですよ・・どうやって修行したんですか?」と彼
「修行なんて、全くした事無いです。それにこれが気功なのかどうかも判らないんですから・・・」
「とにかく、僕、以前追突されて、鞭打ちになって後遺症が残ってるので、治してください」
「私も、一緒に乗ってて同じ後遺症なんです、私も・・・」 と、
なぜか素人の僕が、針の先生夫婦を治療する事になってしまった(苦笑)
その後、僕らは尽きる事無くいろいろな話が続いて行ったのだけれど、彼が
「話し声うるさいかなぁ・・・もうこんな夜中だし・・・」と言い出したのです。
僕が「(隣の部屋のルームメイトは)別に・・・気にならないと思うよ・・」と言うと
「だって、さっきから時々壁をノックしてるでしょう?」
と言うのです。
奥さんも「私も気になっていたんです・・・突然押しかけて来て、夜中まで・・・」
と言うのですが、僕にはノックの音なんて聞こえません。
それに、ルームメイトと僕はとても仲が良かったので、うるさいならうるさいと言いに来るはずです。
「彼女は壁を叩いたりなんてしないよ。それに、僕には聞こえないよ、壁を叩く音・・・」
と言うと、
彼女(奥さん)が、「ほら、また・・・」と言い、
それに合わせて「うんうん」と彼も言うのです。
それからしばらく
「今、した・・聞こえた?」
「いや、聞こえない・・」
「今度は?」
「かすかに・・・」と言う音探しが始まったのですが、
そのうち、僕にもハッキリと天井から、上の住人が椅子を引きずった様な音が聞こえたのです。
「あっ、上の家だったのかな?」
と彼らは安心したような顔をしたのですが、家のアパートは2階建てで僕は2階ですから、上には誰も住んでいないのです。
「これってラップ現象かな?板の上でビー玉がトントントンと跳ねるような音だったら、前から良く聞こえていたよ・・・」 と、とりあえず気にしない事に決めた頃に
うつぶせに寝そべっていた奥さんが、
「あのぅ・・・。私の上に誰か乗ってるんです・・・」と言うのです。
なぜそんな質問をしたのか判らないのですが、僕が
「暖かい?冷たい?」と聞くと
彼女は「暖かいです」と答えるので、
「どの辺り?」と聞くと
「馬乗りになってるみたいに、追突された時に痛めた腰の上」と言うので、
「(全く根拠も無く無責任に・・・)暖かいなら良いんじゃない?」と言うと
「気のせいか、追突されて後遺症が残ってる腰がだんだん楽になってくるんです」 と言うので、
「すげぇや!霊が治療してくれてるんだよ」と話している内に、 彼らは猫の様な(彼らはモグラと言いましたが・・・)小動物が部屋の中のあちこちをうろついてると言い出します。
「なんなんだ?今夜は一体・・・」と思っているうちに突然、部屋の電気がパッと消えます。
一瞬息を呑んだ後、またパッと電気が点くのです。
3人がおそるおそる顔を見合わせて「今のは一体何だったんだろう?」と言ってる時に、
今度はまるで部屋の上から黒いカーテンがすーっと降りてくるように、 上から下へ幕が降りるように徐々に黒く(暗く)なって行ったのです。
(勿論、一瞬の間にですが・・・)
どう考えても、誰かがスイッチを切ったとか、停電とか、接触が悪いという消え方ではありません。
2秒ほど置いて、また明かりが点きました。
その後すぐに3人は「今日はもう寝よっかぁ?」と寝てしまいました。
でも、あの『幕が降りるかのように暗闇が上から下に降りて来た』という経験は初めてでした。
今でも不思議です。
後で、このアパートには第一話の子供達が居る事が判りましたから、多分あの壁や天井のラップ音は彼ら(子供達の霊)の仕業かも知れませんが、腰を治療してくれた霊や暗闇の幕を降ろした霊は、なぜか彼ら(子供 達)の仕業では無いような気がするのです。
この小動物ですが、別な時にもアメリカ人の友人に
「あれっ?お前ン家、猫飼ってたっけ?今、ダイニングテーブルの下を走り抜けて行ったように見えたけど、気のせいかなぁ?」と言われた事が何度かあります。
「奥の部屋に人影が見えたけど、誰か居る?窓の向こうの隣のアパートの人影かな?」 と言われた事も有ります。
でも、きっとこれらの事って、『そのアパートだから』という現象じゃない様な気がするんです。
「じゃぁ、どうして?」と言われても判らないのですが・・・。
