第34話 お礼を言いに来た元居候君
ここは基本的に自分が体験した事だけを書くつもりなのですが、いくつか友人の体験談を・・・・
ずいぶん前の話です。
僕の友人夫婦が以前居候を住まわせていた事があり、その居候が仕事が見つかりアパートを借りて一人暮らしを始めてからの話です。
「A君、元気にやってるかねぇ・・・・」としばらく音沙汰の無い元居候君の話題をした次の日
A君が訪ねて来て、玄関を開けた奥さんが
「あらぁ・・・久しぶりだねぇ・・・・ちょうど昨日話してたところなんだよぉ」
と、玄関に立つ元居候君を残して台所の冷蔵庫から冷たいコーラを出して居間で待っていたそうです。
ところがいつまで経っても元居候君、居間へ現れない。
元居候で、自分の家同然なんだから「どうぞお入りください」なんて言う必要も無いし、
あのまま玄関でじっと立って待ってるはずもないし・・・・・
「じゃ、トイレだろう・・・」
そう思って、一人でコーラを飲んで待っていたけれどやっぱりいくらなんでも遅い・・・・。
おかしいなぁと思い、玄関を見に行ったけれどどうも元居候君の靴が無いし玄関は閉まっている。
「車に忘れものでもして、取りに戻ったんだろう・・・・」
そう思って、またのんびり待っていたけれどいつまで経っても元居候君戻ってくる様子が無い。
そのうち夕方になって旦那が帰ってきた。
「今日さぁ・・・・A君が来たんだけど、かくかくしかじかで・・・・・」
「家に来た途端に玄関で急用のポケベルでも鳴って何も言わずに帰っちゃったのかな?私キッチンに居たし・・・」
そこまで一気に話すと、旦那がゆっくりと
「今日、会社にBから電話が有ってさ・・・・・」
「昨日、Aが事故で死んだんだって」
ちょうど、昨日あいつの話をしてたよなぁ・・・って帰ったらお前に言おうと思ってたけど・・・・・
「あいつちゃんと世話になったお礼を言いに来たんだなぁ・・・」
人が死ぬ時に、気にかけている人に挨拶に来るというのは良くある話です。
死んだ直後は、どんななんでしょう?
物理的な距離も関係無く、ドアを開けたり、音を出したり、風を起こしたり、電気を操作したり、たまに触れたりも出来るようです。
生きて肉体を持っている僕らにはまだまだわからない事だらけで、もしかしたら根本的な物理も化学も間違いなのかも知れないとすら思えてきます。
