第35話 物体を置いていった霊
これも僕自身が体験した話ではなく友人夫婦の体験談ですが・・・・
その夫婦には旦那が仲良くしていた友人(A君)が居たそうです。
ある夜、僕の友人夫婦が寝てからA君が夜中に訪ねてきたのだそうです。
いつもバイクに乗るA君は皮ジャン姿でしたが、皮ジャンは擦り切れたり破れたり、ズボンも擦り切れて汚れていたそうです。
「よう、どうしたんだよ・・・・一体・・・・」
疲れ切ったような精彩無く玄関に立つA君に、旦那はそう声かけると
「バイクで事故っちゃってさ・・・・参ったよぉ」
と、答えるA君に
「とにかく入れよ・・・・」
とアパートの中に入れ、A君が彼らの家に泊まって居間のソファに寝るのはいつもの事だったので、
「俺、明日も早いし寝るけど・・・。でもお前それじゃやばいぜ、泊まって行けよ・・・」
と、寝室に戻ろうとするとA君が
「なぁ、カズさんこの指輪好きだったよねぇ・・・・これ上げるよ」
と、A君がいつも大事にしていたカレッジ・リングサイズの大きめの指輪を自分の指から外して差し出すのだそうです。
「お前なぁ・・・何言ってるんだよ、何かあったのか?」と鼻で笑い、どうせ明日になったら気が変わるに違いないと
「ここに置いておくからな・・・」と渡された指輪を、翌朝A君が気が変わっても良いように居間のテーブルの上に置いて、旦那は寝室に戻りました。
翌朝、A君はもう居間には居ませんでした。
もう出かけたのか?どこに出かけたんだろう?と思いながらテーブルの上を見ると昨日のA君の指輪はちゃんとあります。
「馬鹿だなぁあいつ・・・・引っ込みつかなくなったのかな?」と思いながら仕事に出ようと玄関に行くとA君の靴がまだ残ってるのです。
『あれっ?まだ家の中に居たのか?あいつ・・・・』と思いながらトイレを探してみても、A君はどこにも居ません。
変だなぁと、アパートの外に出てもA君のバイクは見当たらず・・・・。
『あいつ、相当でかく事故ってバイク捨てて来たのか・・・・?』
『それにしても、はだしでどこに行ったんだろう?何を考えてるやら・・・・』とため息をつきながら仕事へ向かい、
仕事中の旦那に「A君が事故で亡くなったので今夜は通夜です」と別な友人から連絡があり慌てて家に電話をしてテーブルの上の指輪と玄関の靴を確認してもらったところ、まだちゃんとそのままあるのだそうです。
A君(の霊)が彼らのアパートを訪ねた時間はちょうどA君が事故を起こした時間です。
当然、遺体は指輪もせず靴も履いていなかったそうです。
言っても信じてもらえないと思った彼らはA君の靴と指輪が自分たちの家にあるとは誰にも言わなかったそうです。
それにしても、霊が身に付けていた指輪と靴が物体として訪問先に残っているというのは初めて聞きます。
霊って単なる幻影だけじゃないんですね。
霊に実体が無ければ、実体のある指輪や靴を身に付けて来て置いて行く事も出来ないはずです。
霊だけならまだしも、形のある指輪や靴が事故現場から何十キロも離れた友人宅へ瞬時に移動した事からしても、やっぱり何か僕らの科学や物理では想像の出来ない別な次元の世界が広がっているのではないかと思います。
僕らが生きている社会では僕らの社会での科学や物理が通用するのですが、今のこの世界とそれ以外の世界(死後の世界もパラレルワールドも何もかもすべてひっくるめて)ではきっともっと僕らの知らない科学があるのでしょうね。
当然、物理や科学を研究している方たちはこの世の人ですから、この世の科学や物理を研究なさっているはずだし・・・・
これは勿論「今の科学が間違っている」という意味ではありません。
今の科学はこの世だけの科学なんだなぁとつくづく思うのです。
