第43話 第六感のある宿屋のオヤジ

ふと思いついて、着の身着のままで沖縄に泳ぎに行ってそのまま住み着いてしまった僕は、
沖縄にそんなに長く滞在するつもりではなかったから、月契約で長期滞在出来る安いホテルを見付けてそこに住んでいた。
1990年頃の情報では、その安ホテルはすっかり養老の滝に変わってしまったらしいけど、それも今はどうなってるのかわからない。
近くには[NY・NY]というディスコ(クラブ)が有って、諸見公園の近くだった。
これを読んでるどなたかがコザ(沖縄市)のその辺の新しい事を知っていたら是非とも教えて下さい。
なんせ、仮の宿だったとはいえ丸々1年暮らした、僕にとっては懐かしい街の事なのです。

さて、その安ホテル。
観光ホテルでも無いし、アパートや下宿屋って訳でもない。
どうやって経営を維持してるのかなぁとも思っていたけど、とにかくオーナーのオヤジさんは1階に住んでた。

どうも沖縄の観光地以外にいるナイチャ(本土から来た人:内地er?)は、アメリカンよりも数が少ない分どうしても浮いてしまう。
やっぱり"浮いてるナイチャ"の友人が2〜3人居た。

その友人の女性の友達が広島から来た。
しばらく沖縄に滞在する事にしたらしい・・・・。

広島から友人が来てる事は知ってたけど、コザに長期滞在する事に決めたなんて知らなかったし、
まして、その人にはまだ会った事も無かったある日
その安ホテルのオヤジが
「明日から19号室にあんたの友達が住むよ・・・・・」と僕に話し掛けてきた。
普段から、顔を合わせると二言三言挨拶程度はするので、簡単に
「あっ、そうですか・・・・」と答えて出かけたけど、
頭の中では『俺の友達ぃ・・・・??』と思ってた。

街で友人に会ったら、その友人が
「リエちゃんがさ、しばらく滞在したいっていうからJunのホテルを紹介してあげたよ・・・」と言う。
「そうかそれで今朝オーナーのオヤジさんが・・・・・」と僕が今朝の会話の事を言うと
「いや、俺はJunが友達だなんて事はオヤジさんには言ってないぜ・・・・・・」と答える。

どうして、彼と僕が友人だと言う事をオーナーのオヤジは知っていたのだろう?
まして、彼の友人(リエちゃん)と僕はまだ面識すらなくて、僕らは"まだ友達ではない人"なのだから・・・・。
結局、このリエちゃんとは後でとても仲の良い友達になったけど・・・・・。

まぁ、ナイチャだから僕の友達だと勝手に判断したのかも知れない。
ところがこのオヤジ、どうも変な六感があるらしい(苦笑)

僕にはその頃付き合っていた彼女が居た。
Navyの通信基地に所属しているWisonsin州出身で、お父さんもお母さんもカソリック系の学校の校長と教頭をやってるというドイツ系の子だった。
付き合ってしばらくした頃、彼女の方から結婚したいと言い出した。
軍人というのは、日本の"カイシャ"みたいに、強制的に転勤させる事が許されている。
まして海外の基地に勤務していると、今度はどこへ行くのか全くわからない。
「日本の他の基地ならまだしも、本国や他の国の基地に転勤になったら別れなきゃいけない」
「結婚していたら、いっしょに赴任地に行ける」と言うのが彼女が突然結婚しようと言い出した理由だった。

その話はまぁ良いとして、
その話の翌日か2日後くらいに、安ホテルのオヤジさんに玄関で会った時
「あのアメリカ人の彼女と結婚するのかい?かわいい子だね・・・・」と言う。
勿論、まだ誰にも言っていないのに・・・・・。

部屋に盗聴機や隠しカメラが仕掛けられている訳じゃない(笑)
彼女が結婚の話を切り出したのは、車の中だったし、広島のリエちゃんの事は僕自身がまだ知らない人だったのだから・・・。

長年ホテルのオーナーとか管理人とかやっていて、いろんな人に接していると
なんとなくその人の事がいろいろわかるようになるのかとも思うけど、
それにしても、あの安ホテルのオヤジは話してない事をやけになんでも知ってる人だった・・・・・・。
本人以上に僕の事を知ってるなら、もっともっといろんな事を聞いておけば良かった(笑)

 

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