第46話 坂PONのお父さん
友人の坂PONから送られてきた[坂PONの不思議な話や当たり前の話 その1」です。
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霊体験や幽霊を見るなどと言うこととは無縁だった自分が、はじめて目に見えないものの存在を感じた話です。
来月、うちの親父の13回忌です。オレが高校3年の時にガンで死にました。
その日は土曜日でした。
1年半前に「半年くらいでしょう」と言われながらも病院を移り、1年以上もがんばっていましたが、個室にあきが出てやっと大部屋から個室に移れるその日に容態が急変し逝きました。
最後は見とれませんでした。学校は午前中で終わりだったので、午後には都内の病院へ見舞いに行こうかとも思っていましたが、翌週に文化祭をひかえ、学校での準備で家につくのが少し遅くなってしまったため「明日の日曜にゆっくり行こう」と、自宅の2階の自分の部屋でベッドにごろんとしながら音楽を聴きぼ〜っとしていました。
天気も良く暖かい日だったので、窓を開け、いつもは閉めている階段から上がってすぐの自分の部屋のドアも開けて、風通しをよくしていました。
しばらくしてから誰かが階段を上がってきました。
その時、開いた部屋のドアの方を見ませんでしたが、誰かが階段を上がってきたのは確かでした。
そして両親の部屋と妹の部屋のある方へその気配が行った気がしたのです。
「妹も帰ってきたな」くらいで不思議にも思いませんでした。
そして「妹は見舞いに行くのかな?」などと気になったので自分の部屋にいたままで呼んでみました。
しかし返事がありません。
「なんださっきのは気のせいか」と思いました。
実際に隣の家の子供が階段をドタドタと上がる音がやけに響いて聞こえることもあったし、窓を開けていたので、その時もそんな風に思い気にしませんでした。
そのあとベッドから起きあがり、部屋のドアに背を向けるようにしてイスに座って音楽を聴いていました。
そして5分くらいたった頃、また階段を上がってくる気配がしたのです。
ついさっき誰かが階段を上がってきたように感じたときと同じ感覚です。
ついさっき気のせいかと思いましたが、明らかに誰かが階段を上がってくるような音というか、感覚というか、、、。
そしてまたオレの部屋の方でなく、階段を上がって右の方の妹の部屋・両親の部屋がある方にいったのです。
今度こそ妹が帰ってきたんだろうと、妹の部屋まで覗きましたが帰ってきていません。
母親が病院から帰ってくるはずもないけど、部屋を覗きました。
誰もいないのです。
そしてそれから15分か20分か、、、しばらくしてから電話が鳴りました。
親戚のおばさんからで、親父が死んだことを聞かされました。
この日、妹は学校でテストがあり、親父が死んだときもまだ学校にいました。
テスト中に足元からスーッと寒くなるのを感じたそうです。
病院に家族・親族が集まったときに妹はそんな話をしていました。
そして母親などに「あんたは何も感じなかったの?」
って言われたその時は、その階段の出来事が頭から何故かぶっ飛んでいて
「いや、なにもなかった」と言ったんですが、
葬儀やら何やらでバタバタとしたのが落ちつきかけた頃に
「そういえば、、、」って感じで思い出しました。
そして親父に関してはもう一つ不思議な体験があります。
四十九日の法要といっても、みんな仕事もあるしそのあたりの週末でやりますよね。
うちも当然そうでした。
だから正確に四十九日がいつかなんて気にもしなかったんですが、ある夢を見ました。
朝起きてもその夢の内容はハッキリと覚えていました。
常に眠りが浅い方だったので、よく夢は見るし、いつもカラーでハッキリとした夢を見ることが多かったんですが、その時の夢だけはいつもと感じが違いました。
空気が違うと言うか、、、。
時代劇の中のような風景でした。
川があって、川沿いには柳があって、長屋のような建物が並んでいました。
夏の明け方のように全体が青く、少しもやがかかったようで涼しく、妙に空気が澄んだ感じでした。
そして川にかかる橋に親父が白い着物を着て立っていました。
なんとなくそこに近づき、そして言葉を交わすでもなく並んで歩き出しました。
お互い顔を見るわけでもなく、目を合わせるわけでもなく、ただ2人並んで川沿いを前にゆっくり進みました。
親父は声に出してオレに話しかけては来ないんですが
「もうすぐ遠くへ行くからな」
というようなことを言うのです。
その口から聞いたわけでもないし、声にも出していたわけではないけど、そう感じるのです。
夢の中のオレも
「もうすぐ遠くへ行く」
と言うことがやけに納得できて
「うん。わかった」
と、これも口に出すわけでもなく、心の中でそう思ったのでした。
するともやというか、白いものが広がっていって、、、、夢はそこまででした。
明らかに夢なんだけど、いままで見たどんな夢とも感じの違う夢でした。
起きてからその夢で感じた空気の冷たさや匂いまで感覚として残っているような、、、。
すぐに家族にも話さなかったし、四十九日がどうとかその時は気にもしなかったので、命日から夢の日までを数えたりもしませんでしたが、今考えるとちょうど四十九日ってその辺だなぁ〜と思います。
あともう一つ、親父に関してはありました。
これは不思議でも何でもないんだけど、親子のつながりみたいなものを凄く感じた出来事。
親父にたいして「えらいなぁ〜。がんばったなぁ〜」と思う出来事です。
親父が闘病中、親父の母親つまりオレのおばあちゃんも体調を崩し危ない状態でした。
しかし本人が気落ちしてはいけないと思って、おばあちゃんの病気のことは一切話さず隠していました。
ある時、一時退院していた親父が
「ばあちゃんの所に電話してみてくれ」
と言うのです。
隠している家族は困りました。
「どうしたの急に」などと聞くと
「夢で見たんだ。なんか気になるから」と言うのです。
なんとかなだめてその場をしのぎましたが、結局おばあちゃんはその後亡くなりました。
親父に内緒でオレが一人で葬儀に行きました。
“虫の知らせ”もそうですが、オレが凄いなと思ったのは、親父は本当は半年前に死ぬと言われていたんです。
病院で「あと1カ月が限度でしょう」と。
でもそれから結局1年近くがんばりました。
親より先にあの世へ行くのは、確かに親不孝ですよね。
でもうちの親父は自分の母親より先に死を宣告されていながら、母親より先には逝かなかったのです。
おばあちゃんの話はしなかったので、自分の母親が具合が悪かったことも、死んだことも知らず、死に顔も見れなかったんですが、順番だけはきっちり守ったなぁ〜と感心(って言うのも辺だけど)しました。
