第56話 知ってる人に知らないと言われる事

昨日頂いたメールで、池袋の駅で不思議な体験をした女性のお話を読ませて頂いて思い出した事があった。

もうすっかり忘れていたんだけれど、10年近く前だったかも知れない。
アメリカの超人気フットボールの試合スーパーボウルがロスで開催された年で、
試合はテキサス・カウボーイとどこかだった。

それは確か試合を数日後に控えた平日で、すでに全米各地から(特にテキサスから)いろんな旅行者が来ていた。
なぜかその年はスーパーボウルを見に来た日本人も多かった。(バブルの前兆だったし)

僕は日本から来た友人の知人カップルと一緒にビバリーヒルズの繁華街のレストランでお茶を飲んでた。
(あれ・・・それとも一緒に居たのは仕事のお客さんだったかも・・・・記憶は薄れかけてる・・・汗)

ともかく・・・・
隣のテーブルに、初老の日本人のカップルと30代のアメリカ人女性が座っていた。
どこから見ても(ちょっと品の良い)初老の日本人のおじさんとおばさんというカップルと
どこから見ても30代のアメリカ人女性が3人でテーブルを囲んでいるのはちょっと不思議な光景だった(笑)
仕事柄、僕の興味は「この3人はどうやって会話してるのだろう?初老の日本人カップルが流暢な英語を話しているのか、それともこのアメリカ人女性が

流暢な日本語を話しているのか?」と思いながら時々ちらちらと隣のテーブルをうかがってたけれど、会話までは聞き取れなかった。

かれこれ1時間半位経って、
「さて、そろそろ行こうか・・・・」と勘定を済ませようと席を立った時に
ちょうど隣のテーブルのアメリカ人女性も席を立ち、目が合った。
相手はアメリカ人なので自然と会釈をすると(目が合った相手と挨拶をするのは礼儀)
彼女は待ってましたとばかりに、にっこり笑って
「あのぅ・・・どこかでお会いしましたよね?」と・・・・
ところが、僕は(例によって)全く記憶に無いんです。

僕は人の名前を覚えるのがとても苦手です。
映画俳優の名前も超有名俳優すら名前を知らなかったりします(汗)
でも、人の顔を覚えるのはとても自信がある。
「この人どこかで会った事がある・・・誰だったろう?」と、しばらく考えて思い出してみるとどこかのレストランでたまたま隣に座ってた人だったり・・・(笑)
それくらい、人の顔は覚えてる。
だから、その時隣のテーブルに座っていた30代のアメリカ人女性とどこかで会っていれば、必ず気が付いたはず。
まして、日本語をこんなに流暢に話すどこから見てもアメリカ人女性に知り合いは居なかった。

僕が「人違いだと思いますが・・・?」と答えると、彼女は
「いえ、お会いしていますよ♪」と確信を持って答える。
彼女があまりにも確信を持ってるようなので失礼にならないように「どこでお会いしたんでしたっけ?」と尋ねると
「東京で・・・・」
と言うのですが、その頃の僕はもう8年くらい日本には行っていない。
「僕は日本を離れてからもう8年経つんです・・・」と答えると
「でも、NHKで・・・・」と言う。
「NKKに友人は働いていますけど、もう何年もNHKには行ってないですよ」と言うと
彼女は最初は不思議そうな顔をしていたのに、徐々に怒りの表情を見せ始めた(汗)
多分、「どうして私の事がわからないんだろう?」という不思議な表情から、
「どうしてそこまでシラを切るんだろう?」と怒り始めたんだろうと思う。
とは言っても、知らないものは知らない・・・・(汗)

彼女が最後には「なんでそこまでシラを切って知らないフリをしなくちゃいけないの?」という怒りの表情を見せ始めたところから推測するに、きっととてもよく知ってる人なんだろうと思う。
最初に「あのぅ・・・どこかでお会いしましたよね?」というのは単なる社交辞令(あるいはジョーク)で、本当はとてもよく知ってる人だったのかも知れない。
まして、[話し掛けるまでは似てる人だなぁと思っていたけど、話してみると(声や話し方で)別人だと気が付く]って事はあると思うけど、この場合は彼女は僕と話し始めてから更に確信を強めたような雰囲気だったし・・・・。
その人(彼女の知ってる人)の名前を聞いておかなかったのが悔やまれる。
もしかして同じ名前だったらと思うと・・・・・・(汗)

沖縄での体験の時は、「あんたの事なんて知らないぜ」と言った事は無かった。
今回は不意だったので、つい「お会いした事は無いと思いますが・・・」と言ってしまった(笑)
自分のよく知ってる人、例えば職場の同僚や上司、近所の友達、何かのサークルの仲間、とにかく自分がよく知ってる人にどこかで会って挨拶をすると、「あなた誰ですか?」と言われたらきっと言われた方もかなりショックなのに違いないと思う。

もっと極端に、自分の親兄弟にどこかで会って声をかけると「あなた誰ですか?」と本気で言われたら、トリハダが立つような気もする・・・・(汗)
しかも、最初はふざけてるんだと思っても少し話していると相手は本気で自分の事を知らないと言ってると感じ始めると不思議とか怒るとかを越えて、怖いと思い始めると思うな。

知らない人に声をかけられるよりも、良く知ってる人に声をかけて知らないと言われる方が怖いのかも知れないと思った。

 

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