第68話 黄色いかばん

最近やけに暇なので(暇じゃ困るんですが・・・笑)
以前、知人から聞いた話を思い出しました。

今は大会社になって上場しているある企業がまだまだ『仲間が集まって立ち上げた会社』だった頃の事です。
僕が聞いた時にはすでにその会社も社員600人ほどになっていて、日本中に800店ほどの(FC)店舗を構えている企業になっていました。

当時グループ会社の社長をしていたIさんが、本社常務のMさんや、やはりグループ会社の社長をしていたKさんと一緒に店舗巡回をしていた時の事だそうです。

働き者の3人が店舗巡回を終わった頃にはすっかり夜中になっていて、雨も降っていたそうです。
運転していたのがIさんだったかMさんだったかはっきり覚えていないのですが、3人が乗った車が雨の夜を走っていると、黄色いかばんをたすきにかけた小学生くらいの女の子が濡れながら歩いていたとの事なんです。

誰ともなく「おい、可哀想だよ・・・・家まで乗っけて行ってやろうぜ」と言い出して、その子の言う家まで送って行きました。
その子を降ろして車を走り出してしばらくしてから、
後ろに乗っていたKさんが「あっ、あいつかばんを忘れていったよぉ・・・」と言い出して、
後ろの座席に残っていた黄色いかばん(幼稚園かばんのような四角い黄色いかばん)を持ち上げたのだそうです。

すっかり疲れていた3人は、面倒だなぁ・・・・と思いながらも子供を下ろしたあたりへ引き返すと、さっき女の子が入っていった家にはまだ明かりが点いていて中に数人の人の気配がします。

「あのぅ・・・さっき女の子を送って来たものなんですが、あの子かばんを車に忘れて行ったので・・・・」
出てきた人にそう言ってかばんを手渡すと、受け取った家族は顔色が変わり、家の中に向かって何か叫び始めたのです。
「あんた、このかばんをどこで見つけたんだ!!」
強い口調で尋問され、
「いやぁ・・・さっき送って来た女の子が車の中に忘れていったんですけど・・・・」
「『送って来た女の子』って、いったい誰の事だ?!」
「小学生くらいで、おかっぱで・・・・こんな服を着て・・・・・確かにこの家に入っていったのを見たんですが・・・・」

実はその子は行方不明になっていて、死体で発見されたんです。
その夜はちょうどその子の通夜だったそうです。

警察が呼ばれ、3人は重要参考人(犯人候補)として、ずっと取調べを受けたそうなんですが、どうやらその子を拾った場所は死体が発見された場所だったらしいです。
そして、発見当時にはその黄色いかばんは見つかっていないのです。

そりゃ当然、「小学生の子供を殺して道端に捨てたけれど、かばんを捨てるのを忘れて戻って来た3人組」として疑われて、3人別々の部屋で取調べを受けたそうなんですが、3人ともアリバイはあるし、信じられないようなストーリーとは言えとりあえず3人とも供述は一致します。

その3人が、小学生の女の子を殺して道端に捨てるような人たちじゃない事は僕も良く知っています。
(その3人に心当たりがあるあなた、あの人たちは怖そうに見えるけどとっても優しい人たちなんですよ・・・・笑)

『幽霊がかばんを届けさせた』なんて話を警察が調書に書くわけにはいかないでしょうね・・・・。
でも、どう考えてもそうとしか思えないんです。
いや、『そうとしか思えない』というよりも、それが『事実』なんです。
だって、それが『実際に起きた事』なんですから・・・・・。
確か、彼女が座っていた座席(それとも足元)も彼女の服(それとも靴)で濡れていたと聞いたような気もします。

僕の知人3人が道端で女の子を拾って家まで送ってあげた。
女の子が黄色いかばんを車に忘れていったのに気がついて引き返した。
その子は既に死んでいて、黄色いかばんは確かにその子のものだった・・・・。

『事実 』は、この3行なんです。
ただ、「どうして?」「どうやって?」「そのかばんはどこから?」「非物質(幽霊)が物質(かばん)を肩から下げていたのって変じゃない?」と、判らない事があまりにもたくさんあるんですが、でも『事実(実際に起きた事)』は、上の3行に要約されるんです。

この手の話は確かによくあるんですが、よくあるって事自体が、「やっぱり、起こり得る事」だとも言えますよね。
「あっ、これってウチの社長の事じゃないか?」って思う方は、微妙なところで僕の記憶にもちょっと勘違いもあるかも知れませんし、どうぞ本人にもっと詳しく聞いてみて下さい(笑)

ちなみに元C社常務のMさん(C社創業メンバー)は今は九州で社長をやってますし、Iさん(同じくC社創業メンバー、元はCグループ物流系N社社長)やKさん(R社社長)は東京に居るはずです♪

 

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