第83話 当たり前になっている不思議な報道常識?

僕はほぼ毎日のように日本の報道を(インターネットで)読んでいます。
ですから、日本語を忘れるとか日本語の感覚が抜けるという事は無いと信じているのですが、その僕が不思議に思う言葉遣いというのがいくつかあります。

正直な話、10年ほど前に流行った言葉で『セクハラ』というのは、テラミスなどと同じ類のケーキか料理の名前だと本気で思っていました。
『キムタク』は、流行の韓国系の俳優さん(キム・タクさん)と思っていましたし、確かに流行り言葉にはついて行けていない自分は認識しています。

でも、報道で使われる言葉は『流行り言葉』ではいけないと思うんですよね。
数年前に「アジア」と言うと、主に東南アジアを指し、少なくとも日本以外のアジア諸国(地域)を意味していたと思います。
でも、これは多分『東南アジア』の東南を省略して、(東南)アジアを意味していたのだと思うんですが、西ヨーロッパの西を省略してしまうと、聞いた人はヨーロッパ全体だと思い込みますし、高齢者優先席の高齢者を省略すると、誰の優先席なのか判らなくなってしまうと思うんですね。
そんな風に、日常では当たり前に使われている不思議な言葉が結構あると思うんですけど、最近僕がとても耳につくのが(特にニュースで耳にするのですが)「昨夜、7時すぎ・・・・」「今朝、9時前に・・・・」という、XX時前とXX時過ぎなんです。
「9時前」と言うと、8時もそうだし、4時も含まれるし・・・・と、本気で考えていたんです。
ところが、これも「昨夜、7時(少し)過ぎ・・・」「今朝、9時(少し)前・・・」の『少し』を省略しているんですね。
これ、本当に判らなかったんですよ・・・。

そして、とっても気になってしょうがないのが、日本で報道される場合に人の名前が出ると『必ず』職業が併記される事なんです。
当事者だけではなくて、「犯行現場の近くに住む山田花子さん(会社員)が、犯行の2時間ほど前に・・・」と必ず職業が明記されるわけなんですね。
職業が事件に関係する場合もあると思います。
『警察官が』窃盗をしたとか、「公立小学校の教諭が」公園で幼児に性的ないたずらをしたとか、酒酔いで交通事故を起したのが「(プロの)タクシー運転手やトラック運転手、路線バスの運転手」であったり・・・と、当事者の職業が事件と密接な関係がある場合もあると思います。
当事者に限らず、痴漢の目撃者が「駅員」だったり、被害者の学級担任だったり・・・という場合の職業は伝えられるべき情報の一部分になると思います。
でも、3人が死傷した交通事故で、運転していたのがパートの山田さん、助手席の会社員の田中さん、後部座席に乗っていて亡くなったフリーターの鈴木さん・・・・の職業って、そんなに大事な情報でしょうか?
サイパンで逮捕されLAに移送されて自殺した三浦和義さんの場合は、更にひどくて最初は「三浦元社長」と書かれていたのが、そのうち三浦を省略して「元社長は・・・」「元社長が・・・」と、まるで彼の固有名詞であるかのごとく「元社長」の連発でした。
でも、元社長が社長だった頃って随分前だと思うんです。
だったら、コンビニ強盗をした佐藤被告も佐藤栄作(無職)じゃなくて、佐藤栄作(元会社員)とか(元パート従業員)とかになっても不思議は無いはずです。
それって、僕にとってはとても不思議で変だったんですが、日本の報道機関にとっては日常的な普通の事なのでしょうね。

通り魔殺人で被害に遭われた女性が「パート」であろうが「派遣社員」であろうが「会社員」であろうが、報道を受ける側にとってはそんなに必要な情報ではないと思うんです。
それよりも、この女性が10ヶ月と3歳の二人の子供の母親である事の方が、読み手には重大な情報のような気がするんです。
『職業』って、その人のアイデンティティを特定する上でそんなに大事な情報なんでしょうかね?
そうなると、僕は会社社長になるのか(ウチ・・・社員一人の株式会社です)自営業になるのか、あるいは運転手になるのか警備員になるのか警備会社役員(カリフォルニア州発行の警備会社運営免許を持っています)・・・・それとも『元社員』とか『もと翻訳家』『元契約社員』・・・なんとでも付けられるような気もします。
僕が銃を使って犯罪を犯したような場合は、カリフォルニア州の警備会社免許を持っているという事は大きな情報になると思います。
車を使った何か事件に関わった場合はリムジン会社とか運転手である事、英語と日本語の溝を付いた詐欺なんかの場合は、翻訳とか通訳業をしてた事は大きな関わりになると思います。
でも、本題に関わりの無い部分では僕はあくまで僕として扱ってもらいたいし、ましてや職業の肩書きが僕個人を表す代名詞として使われるなんてまっぴらだと思っています。

これって、どっちが当たり前でどっちが不思議なんでしょうね・・・・

 

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